産廃トラブルを防ぐ!茨城県での業者選びにおける実務上の留意点
こんにちは。株式会社美浦クリーンです。
私たちは茨城県美浦村を拠点に、産業廃棄物の収集運搬から中間処理・再資源化までを一貫して行っております。
全国的に「産廃業者選びの注意点」を解説した記事は多く見られますが、実際の実務では地域ごとの条例や行政運用の違いに留意する必要があります。
特に茨城県は首都圏に隣接し、他県からの廃棄物の搬入も多いため、許可やルールの確認を怠ると排出事業者自身が法的責任を問われるリスクがあります。
本記事では、茨城県における産業廃棄物処理業者の選定にあたり、実務担当者が押さえておくべき留意点を5つの観点から整理しました。
はじめに
産業廃棄物は、廃棄物処理法の第3条に『事業者は、事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任において適正に処理しなければならない』と定められており、排出事業者が自らの責任において適正に処理する義務があります。
廃棄物の委託においては、委託業者が適正な対応を行わないと委託業者のみならず、排出事業者までも行政より措置命令や罰則が科される可能性もあります。なお多くのケースが自ら適正処理をできる事が不可能なため、廃棄物処理の許可業者に委託することとなります。
環境への配慮、法令順守のためにも、安心して任せられる業者の選定が必要となります。
本記事で紹介する4つのポイントをぜひ参考にしてみてください。
1.茨城県知事による有効な許可証の確認
産廃業者の選定における最初のステップは、許可証の有効性確認です。
法的根拠
- 廃棄物処理法第14条:「産業廃棄物処理業を営もうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない」
- 許可は都道府県ごとに発行され、茨城県内で運搬・処分を行う場合は茨城県知事の許可が必須となります。
実務上のポイント
- 排出事業場が茨城県に所在する場合、収集運搬業者と処分業者は「茨城県知事許可」を持っていなければ違法委託となります。
- 収集運搬業者は、積み地と降ろし地の両方の都道府県(または政令市)の許可が必要となります。
- 許可証は「品目ごと」に区分されているため、木くず、廃プラスチック類、金属くずなど対象廃棄物がすべて含まれているか精査が必要です。
参考:環境省「産廃情報ネット」で全国の許可証検索が可能です。
https://www.sanpainet.or.jp/
2.マニフェスト交付・管理の徹底
産廃の適正処理を確認する仕組みがマニフェスト制度です。
法的根拠
- 廃棄物処理法第12条の3:「排出事業者は、産業廃棄物の処理を委託する際、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付しなければならない」
- 不備や虚偽記載、返送遅延がある場合、排出事業者は是正措置を行う義務があります。
マニフェストは各現場ごとに発行されなければなりません。例えば同じ日に茨城県内のA現場とB現場を収集運搬の委託した依頼したとします。その際に、A現場+ B現場の廃棄物を1枚のマニフェストで発行することはできません。A現場で1枚、B現場で1枚発行と現場別に発行することが必要です。
電子マニフェストの推奨について
- 茨城県は電子マニフェストの利用促進を図っており、県の廃棄物規制課も推奨しています。
- 電子化により、返送遅延や記載漏れを未然に防ぐ効果が期待できます。
実務上のリスク
- 未返送・虚偽記載を放置すると、排出事業者も措置命令や罰則の対象になります。
委託業者が「電子マニフェストに対応しているか」を確認しておくと良いでしょう。
3.茨城県独自の「事前協議制度」に注意
茨城県では、県外で排出された産業廃棄物を県内の処理施設に搬入する場合、「事前協議制度」が設けられています。これは、県外産廃の受入れによる不法投棄や環境トラブルを防ぐために、導入された茨城県独自のルールです。
紙マニフェストを使用して処理業者に委託する場合は、排出事業者が茨城県に対して事前協議を行う必要があります。
電子マニフェストを使用して処理業者に委託する場合は、排出事業者が処分業者に対して事前協議を行い、処分業者が排出者に対して受入承諾書を交付します。
県への事前協議は不要となりますが事前協議自体は必要です。必要な書類の確認・準備をしておきましょう。
協議の概要
- 対象:県外で排出された産業廃棄物を、茨城県内で中間処理または最終処分する場合
- 提出先:廃棄物規制課
- 協定有効期間:中間処理は5年、最終処分は3年
- 必要書類例:産業廃棄物県内搬入処分事前協議書(様式第1号)、廃棄物の写真や分析成績書、委託契約書の写し、処理業者の許可証など
※詳細は茨城県のHPをご確認ください。
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/haitai/shisetsu/hannyu.html
実務上の留意点(排出事業者の視点)
- 委託先の業者が紙または電子どちらのマニフェストを使用しているか確認する。
※委託先の業者とは・・・収集運搬業者と処分業者の両方の委託先が電子マニフェストを使用しているか確認が必要です。 - 許可証の有効期間をチェックし、期限切れの業者に委託しない。
4.特別管理産業廃棄物の委託要件
PCB廃棄物、アスベスト、感染性廃棄物などは「特別管理産業廃棄物(特管産廃)」に区分されます。
法的根拠
- 廃棄物処理法第12条:「特別管理産業廃棄物は、環境省令で定める基準に従って処理しなければならない」
- 許可も通常の産廃処理業とは別に「特別管理産業廃棄物収集運搬業」「特別管理産業廃棄物処分業」が必要です。
実務上のポイント
- アスベスト処理では、環境省にて「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」を公表し、遵守を求めています。
参考リンク:https://www.env.go.jp/air/asbestos/post_71.html - 無許可業者に特管産廃を委託すると、刑事罰の対象となることがあります(法第26条、懲役刑・罰金刑)。
特管産廃を扱う場合は、特管許可を保有しているかを必ず確認してください。
5.行政処分歴・コンプライアンス体制の確認
産廃業者の信用性を確認するうえで、行政処分歴の有無は重要です。
茨城県の公表制度
- 茨城県は、処分業者・運搬業者に対する行政処分(許可取消、事業停止、改善命令など)を公式HPで公表しています。
- 公表内容は5年間程度閲覧可能であり、業者の法令遵守姿勢を把握する重要な資料となります。
実務上のポイント
- 委託前に県のHPで「行政処分を受けた業者一覧」を確認することが推奨されます。
※茨城県の行政処分を受けた業者一覧
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/haitai/fuho/fuho-toki/shobun.html - 「安さ」だけを基準に業者を選定すると、結果的に法的リスク・企業イメージ低下を招く可能性があります。
まとめ
茨城県での産廃業者選定においては、以下の観点を確認することが不可欠です。
- 茨城県知事による有効な許可証の確認
- マニフェスト制度の適正運用(電子対応も含む)
- 茨城県独自の「事前協議制度」に注意
- 特別管理産業廃棄物への対応可否(発生する産廃が特管産廃の場合)
- 行政処分歴・コンプライアンス体制の確認
全国共通の原則に加え、茨城県独自の行政運用やリスクに着目することが、法令違反やトラブルを未然に防ぐ最も有効な手段です。
美浦クリーンの取り組み
当社は、1992年(平成4年)の創業以来、茨城県を中心に30年以上にわたり産業廃棄物処理を行ってまいりました。
- 茨城県知事許可をはじめとする各種許可を保有
https://www.mihoclean.co.jp/company/permission - 電子マニフェスト対応(JWnet、e-reverse)による効率的・透明性の高い運用
- 環境保全・再資源化への積極的な取組み
産業廃棄物の適正処理は、企業のコンプライアンスやCSRの根幹に直結する分野です。
「自社の処理が適法か不安」「特管産廃の対応を相談したい」といった場合は、ぜひお気軽にご相談ください。
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